日々是好日(校長室だより)

2学期終業式

本日、2学期の終業式を行いました。

応接室から発信し、生徒は各教室のプロジェクターで映像を見ながら話を聞きました。

校長が話した内容を掲載いたします。

【校長講和】

 今日は「セレンディピティ(Serendipity)」「今後のコロナ対策」「冬休みの過ごし方」の話をします。
 セレンディピティという言葉を聞いたことがありますか。「予測外の幸運な偶然」などという意味で使われることが多い言葉です。私がこの言葉を初めて聞いたのは 2000年にノーベル化学賞を受賞した白川英樹先生の話です。

 ある日、白川先生の研究室でポリアセチレンを合成する実験をしていた外国人研究生が間違えて1000倍濃い触媒で反応させたため、本来の実験は失敗してしまいます。ところが、失敗して生成された化合物の膜を見て、白川先生は、面白そうだなと興味を持ちます。
 生成されたポリアセチレンは有機化合物ですから通常は電気を通さない物質です。しかし「もしかしたら、電気が通るかもしれない」と思って、研究を進めたものが、携帯電話のリチウムイオンバッテリーの電極やタッチパネルのもとになりました。この偶然の発見がなければ、皆さんが持つ携帯電話は平野ノラさんがテレビのネタで使っているような大きな電話のままだったかもしれないし、タッチパネルで操作するスマホやiPadも開発されることがなかったかもしれません。
 「セレンディピティ」という言葉は、『セレンディップの3人の王子』というペルシャの童話から引用されました。登場人物の3人の王子が偶然と洞察力を元に、旅の途中で探し求めているものを発見するという話です。
 セレンディピティは「予測外の幸運な偶然」という意味で使われますが、多くの科学者がこの言葉を使うときに「幸運は誰にでも訪れている、ただし、好奇心や認知力、洞察力などをもって準備をしている人にしか幸運な偶然はやってこない、準備をしていなければ、幸運は目の前を通り過ぎて行ってしまう。」という意味が含まれているのだと思います。

 さて、次にCOVID-19の状況ですが、いまだ収束の目途はたっていません。
医療関係者の方をはじめ、多くの方が命を守る、生活を守るために尽力していただいています。また、多くの企業や飲食店などは苦境に立たされています。これ以上の拡散を防ぐためにも、私たちは不要不急の外出を控えるなど、できることに取り組まなければなりません。
 本校の対応について。新聞報道にもありましたが、埼玉県教育委員会から発表されたとおり、冬休み以降の部活動は公式戦などを控えている部活を除いて1月17日まで原則中止、3学期の授業も始業時間を遅らせるなどの対応をします。学校行事の中止など、思うように活動ができなかったうえに、さらにこのような対応となってしまうことを残念に思います。
 しかし、君たちは、この逆境と思える時代をどう生きていくのか。生き抜くための武器は何かを考えてほしい。
それは、しっかりとした知恵を身に着けることです。テレビのクイズ番組でやっているような、単に知っているかどうかを問う知識ではなく、答えのない問いにどうやって答えるか。ネットの検索エンジンで探すのでなく、自らの手で作り上げていくという知恵が必要です。
 その土台を作るために、入試科目だけでなく幅広い学習をすることや本を読む、いろいろなものに興味を持つ、さらに人間関係や心身を鍛えることが大切になってきます。年明けに行われる英検もその一つです。身に着けた知識は、君たちの人生を切り拓くための、一生ものの武器になります。
 明日から迎える冬休み、部活動が中止になり、初詣や田舎に帰ることもかなわないこともあるでしょう。そんな例年の年越しと違う時だからこそ、君たちがいつかセレンディピティをつかむための準備に取り組むチャンスといえます。

 健康に気を付けて、充実した冬休みを過ごしてください。3学期に元気に会いましょう。